2011/10/31

毎日新聞の記事

本日、毎日新聞の全国版にて、ゆずりはの取り組みが掲載されました
http://mainichi.jp/life/job/news/20111031ddm013100017000c.html

社会的養護の施設退所者の支援の必要性を具体的な事例と共に、わかりやすく記事にしていただきました。
ゆずりはの他に、退所者の就労支援をしてくださっている株式会社「フェアスタート」の取り組みや、児童養護施設「西台子ども館」の住まい提供の取り組み等も併せて紹介されています。

「社会的養護の退所者支援の充実」や「児童虐待の防止」は、私たちの小さな取り組み・小さな声を、社会に発信することが、社会的養護の現場が抱えている問題は「社会の問題と」して共有してもらうことに繋がっていくのだと思います
社会からの認知や理解が得られなければ、社会的養護の支援の抜本的解決にはつながりません

社会に発信し、まずは知ってもらうことからのスタートです

日々の支援と社会への発信どちらも大切にしながら、前進していきたい

2011/10/27

全国自立援助ホーム協議会北海道大会に参加しました

10月26日、27日函館の地で開催された全国自立援助ホーム協議会に参加させていただきました。
全国大会は今年で18回目、全国で自立援助ホームは今や77箇所となり、今回の大会への参加者数は200名近くにも及び盛大な会となりました。

児童精神科医の田中康雄先生の基調講演、北海道大学の松本伊智朗先生からのご提言等専門家の先生方からのお話、厚労省からの行政説明もしていただき、貴重な学びを得ると共に、私が何よりも心を打たれたのは、各ホームでの事例発表でした。
一日目の分科会、二日目のシンポジウム、ぞれぞれで各ホームが携わってきた大変なケースを通し、私たちの支援のあり方、そもそも自立援助ホームが担う役割と責任は何かを改めて考える時間をいただきました。


私はAホームでの性虐待の被害を幼い頃から受け続けてきた事例を聞きながら、この事例を社会で生きる全ての大人たちに聞いてほしいという思いに駆られました。
彼女が受けて来た被害の重さ、奪われた子ども時代、虐待によって引き起こされる様々な症状、それに必死に関わる自立援助ホーム職員の姿、…虐待が引き起こす深刻な症状と共に、彼女を巡って、彼女が思春期と呼ばれる年齢になるまで、教育も福祉も医療も全く携わることができなかったというこの事実を、社会皆で共有しなければと感じました。


自立援助ホーム職員は、傷ついた子どもたちを支援する行程のなかで、いかに自分たちが無力であるかということに苛まれながら、闘いながら日々必死に支援をしています。
子どもたちと生活を共にする私たちの支援のありようが問われることはもちろんのことですが、この「社会の無関心」にどう向き合っていくかも自立援助ホーム職員の役割としてとても大事なことではないかと思いました。


本当に子どもを守るためには、理想や理念、心がけだけでは変わらない
立派な法律だけでは変わらない
理念や法律を遵守するための教育の見直し、制度の改正、予算の増額全てが必要です
私たちの社会は子どもたちの健全な養育の為に、十分なお金を費やしてはいません
児童虐待にある根本的な問題についてもまだまだ理解はされていません
私たちの社会は「自分の子ども」という視点においては十分すぎるほどの関心や注意力を持って関わっているかもしれませんが、「社会の子ども」という視点においてはまだまだ無関心の域を出てはいないと感じてなりません
私自身も「“社会の子ども”に無関心な社会」を形成している社会の一員です
社会的養護に携わる者として、一児の母親として、ひとりの人間として、自分に出来ること、すべきことをやります。



自立援助ホーム湘南つばさの家の前川さんのお話
施設を退所した子どもたちは失敗することが許されない
生きづらさを抱えさせられた子どもたちが、社会に出て、失敗が出来ない環境に生き続けなければならない

失敗を保障してくれる家庭という寄る辺がない彼らに
失敗を保障してあげられるのは社会しかない
失敗の保障は決して社会の損失にはならないです
むしろ、その保障が社会の資源として、成長として還元されるものになると私は心から思います(もっと安心できる、のびやかで懐の深い社会の土壌があれば、児童虐待問題も、少子化の問題も緩和されるのではないかと思えてなりません)
失敗を保障できる社会になってほしいと強く願います



「生きていてよかった」と退所者が、ホームを退所してから10年以上たった後伝えてくれた言葉。その言葉を宝物のように、大切に大切に心に持っている前川さん

終わりのない、ゴールのみえない日々の支援のなかで、きっとどこかで
「あきらめないでよかった」と思える瞬間が来ることを伝えてもらったような気がします


日々奮闘している全国の自立援助ホームのスタッフの方々が健康でホームを継続していけることを心より願っています

2011/10/16

生きるための学び支援

自立援助ホームの多くの子どもたちは中卒•高校中退という学歴で入所し、その学歴のまま退所をします
自立援助ホームでは「自立」の為に働くことを利用条件とし、支援の基軸は“就学支援”ではく“就労支援”なので、低学歴であることはあたりまえなのかもしれません。
しかし、虐待によるトラウマ・心の傷を持ち、支えてくれる親や家族はおらず、そのうえ中卒•高校中退という何重にも重なった目に見えないハンディを背負わされ、社会に出た若者たちが安定した就労につけるのでしょうか?
私たち支援者が提供すべき重要な支援のひとつとして、「就学支援」にもっともっと力を入れることが必要なのではないかと日々感じています

「生きるためにはまず働くことだ」と言う方もいます。
「生きるためにまず働くこと」、「働くことを支援すること」が、
本当に支援になっているのか、彼らの人生に役にたっているのか…私には自信がありません。

私は学びの支援は、生きるための支援だと考えます
この時代に、この国で、少しでも幸せに安心して安定した生活を送るためにハンディを抱えさせられた子どもたちにこそ、学び支援は不可欠だと考えます

支援者や施設は、もっともっと学歴や、資格取得にこだわるべきだと思います

根こそぎで教育の機会を奪われてきた子どもたちへの学びの支援は正直本当に難しいです
子どもたちが学ぶ意欲を持たないのではなく、学ぶ意欲さえもまた奪われてきたということを忘れず支援していかねばと感じます

子どもたちの5年後、10年後、もっとその先を見据えたとき
「とりあえず働く」という支援にとどまらない支援を私はしたい
















今日、日が沈んだ後の小金井の空
遠くに富士山が見えます  どの子も安心して明日が迎えられたらいいなぁ

2011/10/14

ゆずりはマーケット開催のお知らせ

秋の爽やかな日和が続きますね
歩いいるだけで、ぐんぐんとどこまでも行けそうな気持ちになります
時々、金木犀の香りが風にのって届いてくると、もうそれだけで何だか胸いっぱいになります


今回はお知らせをさせていただきます!
11/26(土) アフターケア相談所ゆずりはにて「ゆずりはマーケット」を開催いたします


マクロビオティックのonedayカフェ
絵本・子ども服のリサイクルマーケット
ゆずりは手作り商品の販売
虐待で亡くなった子どもたちを悼むキャンドルナイトetc


上記の内容を中心に開催させていただきます
ゆずりはマーケットでの売り上げは全て、ゆずりは利用者の就学基金として活用させていただきます

初めての試みであるので、どんな展開になるのか、まだ未知数ですが
小さな相談所から地域の方との繋がり、お母さん・子どもたちとの繋がり、社会的養護の認知にも繋がるよう、等身大で出来る事を発信したいと思います

マーケット開催につきまして皆様にお願いがあります
当日のリサイクルマーケットの商品として販売する絵本を寄贈していただきたく存じます
お家で眠っている絵本、処分しようと思っていた絵本等ありましたら是非ご協力をお願いいたします
☆送料は各自でご負担をお願いしたく存じます
☆汚れのひどいもの、リサイクル品としては厳しいコンディションのものはご遠慮ください
☆送付先 〒184−0012
小金井市中町3−10−10−102
アフターケア相談所ゆずりは  高橋宛
☆お問い合わせ 090−9640−0177(高橋携帯)


マーケットの詳細につきましては、また後日お知らせしていきたいと思います



「今日のゆずりは」

















りんごが赤く色づきました
しわしわ加減もかわいいです





















ゆずりはの清掃アルバイトをしてくれている
K君掃除の達人です

2011/10/10

つぶやき

見えない壁に隔てられ
そこで自分たちが守られたなかにいると思っているのでしょうか
本気で相談者が訴える言葉や苦しみや悲しみや怒りについて考えようとしているのでしょうか
全てを理解し受け止めてほしいとはいいません
あなたが発する一言一句に心を込めて伝えてください
必要な時には必要なだけ言葉と心を尽くして説明し、時には謝罪することも必要な時があるかもしれません


「出来ない」「わからない」「知らない」と言い放てる権限なんて私たちにはありません


せっかく人間同士なのにと思います
人間同士のやりとりなんだから、しかも支援を必要としている方を応援するという役割なんだから、杓子定規な考えに収まらず、自分の経験や知識だけで決めつけたりしないで、「安心感」を持ってもらえる支援が必要なのではないでしょうか


「安心感」を持ってもらうこと=何でも受け入れるということではもちろんありません


相談者からの信頼を得る為には、まず信頼をして支援していくほかないと思います




私たちが勝手に壁をつくっていないだろうか
いつも考えます
















今日のゆずりはの花 アメジストセージ